2008.08.05

『なぜノウハウは伝わらないのか』

CSちょっといい話

「特別な技術を継ぐ後継者がいない」良く聞く言葉です。
「習うんじゃない、盗むんだ」料理人や職人の世界では丁寧に教えてくれません。鍋に残ったソースを洗う際に隠れてなめて味を盗むなんて話があったりします。
教える気がない、教える文化がない、と言ってしまえばそれまでですが、上記の例では、近くでやっている姿を見ることがまだできるわけです。

われわれのビジネスの中で、お客様と接している営業マン、サービスマンの方についてはもっと条件が厳しくなります。できる営業マン、できるサービスマンはいても、「なぜできるのか」を解明するすべがありません。
何しろ、相手の状況もわからない、そしてその場で何をどうやっているかわからないわけで頼りになるのは本人から聞いた言葉だけとなります。
本人がその対応、その作業をすごいと認識していないと、そのノウハウ、スキルは埋もれてしまいます。

営業マンについて言えば「あのキャラクターだからできるんだよ」なんて一言でかたづけられてしまい、誰もそのノウハウを学ぼうとさえしないことがあります。
でも、本当にそうなのか?そんな疑問があります。トップセールスのノウハウは普通の人には真似られないのでしょうか?


そう考えていたら、ある出来事を思い出しました。
切れ者の営業所長がお客様の前でクローズ(契約締結のアプローチ)をかけてお客様にOKをいただいたそのシーンで、その場にいたからこそわかるノウハウがありました。

結果だけから見ると、もとトップセールスだった営業所長だからできたんじゃないかと一言でかたづけられがちですが、それまでの状況の中での所長の身振り、声のかけかた、トーン、せりふの内容、間の取り方、そしてお客様の反応と、全てを見ることで、何がポイントだったのかが浮かび上がってきたのです。

「社長、私にひとつください」との短いせりふの中に「ひとつください」で増額を小さく見せる工夫、「私に」というフレーズに機械だけでなく、自分を売り込んでいること、社長の男気を誘う「ください」のフレーズ、明るく、ちょっと甲高い声、その全てが合わさって最強の決め文句になったというわけです。

それがわかったセールスはポイントを掴んでさっそくやってみました。
そうすると、面白いように商談がまとまります。今までなら弱気に「ちょっと高くなってしまうんですが…」なんて言ってたのが「わたしにください」と強気に言えるようになって自分に自信までついてきました。

しかし、その決め文句はおそらく誰にも受け継がれていません。同じようにそのシーンに出くわさないとそのセールスの中にとどまってしまうのです。
このように、ノウハウやナレッジと言われるものを共有したり、伝えていくことは本当に大変です。
簡単にマニュアル化できるものではなく、体感して、その奥に潜むもの、シーンをいかに正確に再現するか、そこにノウハウ/ナレッジ共有のポイントがありそうです。

どうしたら共有できるか、みんなで悩みながらチャレンジしましょう。