社内コミュニケーション活性化のススメ その①

~ 社内コミュニケーションの基盤づくり ~

戦略総務としてやるべきことの一つ、イノベーションが生まれる風土づくり。具体的には社内コミュニケーションの活性化の実現です。
ただ、コミュニケーションという言葉は漠然としていて、どこから手を付けていいか分からないものです。
そこで、コミュニケーション施策を4つのフェーズに分解して考えていくことがおススメです。

コミュニケーション活性化4つの考え方

① 知り合うきっかけ、会話のネタ  ⇒ 社内コミュニケーション・メディア

② 日常での偶発的な交わりの場   ⇒ オフィス

③ 非日常での強制的な交わりの場  ⇒ 社内イベント

④ 強制的に変える         ⇒ 人事異動、定期的な席替え

お互いを知り合い、会話のきっかけを提供する

社内コミュニケーション活性化の実現とは、どのようなイメージでしょうか?
そこかしこでコミユニケーション、会話がされているイメージでしょう。
そのためには、誰がどの部署でどのような仕事をしており、お互いがどのような人間なのかを知っておくことがまずは必要です。

社内報を創刊する際、社内報でどのようなことが知りたいかというアンケートをとると、どの企業でも、どのような部署があるのか、どのようなメンバーがどこに居るのかを知りたいという要望が上位にきます。
部署紹介、人物紹介の企画がそれに該当します。
そのような企画を通じて、コミュニケーションをとる相手がわかり、会話の糸口が見つかります。当然、同一部署内ではリアルな自己紹介がそれにあたります。社内報の部署紹介、人物紹介はメディアを通じての自己紹介となるわけです。

会話のきっかけの提供は社内報だけではありません。イントラ内のWeb社内報でも可能でしょうし、壁新聞も効果的です。
壁新聞は複数人で一緒に見ることができますから、記事を酒の肴にして会話が盛り上がります。
現在はICTの進展により、デジタルサイネージとして多くの企業で活用されています。

オフィスで偶発的な出会いを演出する

お互いを知るきっかけを社内コミュニケーションメディアで提供した後に効果的なのは、偶発的な出会いの場の仕掛けです。
特に、部門や専門が異なる社員が偶然出会うことはイノベーションに結び付くとされ、偶発的な出会いの場の効用が説かれています。

偶発的な出会いを生む具体的な施策は、オフィスレイアウトです。
コピーやプリンターなどの共用機材を集中配備して、コピーをする際や出力を待つ際の偶発的出会いを演出するのです。あるいは、オフィス内の主要通路のそばにコーヒーコーナーやリフレッシュスペースを配置して、ほっと一息する際の偶発的出会いに賭けます。
オフィスは日常的に使う場ですから、その中にいろいろと仕掛けをしていくことは大変効果的となります。

社内イベントも施策の一つです。社員同士が和やかに歓談できる場がそれにあたります。
キックオフの後の懇親会や、周年行事としての社内パーティーなどが例です。久しぶり出会う同期や、いつもメールだけの間柄の社員同士が、懇親会の場で偶然出会い話がはずむ。その会話を通じてお互いがより深い関係になっていく。その場を仕掛けるのです。
偶発的出会いの場の提供は、コミュニケーションが生まれる可能性に賭けることであるので、数多くその場を提供することがポイントとなります。

総務が仕組んで出会いの場を演出する

先に記したのが偶発的な出会いの場であるのに対して、こちらは総務などの事務局側が意図した出会いの場の提供です。
事務局側が引き合わせたい社員同士をコミュニケーションの場に連れてくるのです。

例えば食事会。仲の良い者同士の食事代を補助するケースもありますが、ここでの施策は、事務局側が食事会の参加者をピックアップして連れてくるのです。普段話す機会の無い社員同士をあえて同じ場に連れてきて、お弁当を提供、場合によっては話すテーマも選定します。

ワークショップも同様です。各テーブルのグルーピングを事務局が選定していきます。この場で初めて会って
コミュニケーションをすることで、その後、仕事で困ったときの相談先になったり、プロジェクトチームを組むときのメンバーとして招聘するケースもあるでしょう。

社内報の座談会も同様の効果があります。会話がはずむからといって、知り合いばかりを集めるのは意味がありません。可能な限り、普段会話をすることのない社員同士を組み合わせることで、その後の展開に期待するのです。
いずれにせよ、偶発的な出会いを待っていては出会わないようなメンバー同士を事務局が意図して出会わせます。ですから、事務局側として、普段のコミュニケーションの実態を把握しておくことが肝要です。

最終手段で変えてしまう

最後は、特定のメンバーの場を変えてしまう施策です。
席替えであったり、レイアウト変更であったり、もっと直接的には人事異動です。
こうしたことにより、あらたな関係性が構築され、いままでの人的ネットワークを新たな働く場に接続することも期待できます。

ある企業では、社内短期留学という制度があります。
例えば、人事部のメンバーが経理部に期間を定めて送り込まれるのです。経理部に留学した人事部のメンバーは、全くの経理の素人ですから、あれやこれやと根本的な質問を投げかけていきます。従来から普通と思っていた仕事に、さまざまな質問が投げかけられ経理部のメンバーは多くの気づきを得るそうです。当然、その人事部メンバーは経理部に人脈を築くことができます。

一方、メンバーを差し出した人事部では、人員がいきなり純減となりますから、部全体でその分をカバーしなければならず、そのためにさらに深いコミュニケーションが取られることでしょう。

ここでの施策は、特定のメンバーを強制的に元いた働く場から、異なる働く場へ異動させる施策です。どのメンバーを異動させるかによって、その効果も大きく異なります。インフルエンサーと言われる影響力の大きなメンバーを上手に動かすことで、さまざまな部署でのコミュニケーションが活性化されることでしょう。


豊田健一(とよだ・けんいち)
『月刊総務』編集長。早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の編集長を務めると同時に、一般社団法人ファシリティ・オフィスサービ ス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師も務める。

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