戦略総務ための情報収集のススメ

~ 最新技術とサービスを自社に導入するために ~

総務部は社外との接点が多い部署です。
社外との接点の中で、さまざまな情報に触れることができます。
この総務の立ち位置、社外と社内の中間に位置する利点を最大限に活用することも、戦略総務実現のためには必要な要件です。

社外と社内の中間に位置する意味

総務では、渉外業務があることにより、地域住民や近隣の会社はもとより、関係団体、関係諸官庁とも多くの接点があります。
通常業務でもサプライヤーやアウトソーサー等のパートナーとも接点があります。士業や専門家との接点もあります。
社外のネットワークを構築するには、最も適した部署であるはずです。

自社のリソースだけでは、この変化の激しい時代に取り残されてしまう可能性があります。総務の幅広い社外のネットワークが生きてくる時代です。
そして、何が業務として降ってくるかわからない総務において、社外ブレーンを増やしていくことは、円滑な業務対応には欠かせません。

その結果、多くの情報にも日々触れることができます。
自社の企業活動に、現段階ではどのような影響を与えるかわからない事柄について、日々ウォッチしていくことも必要です。
早期にリスクの芽を摘むことが、幅広いネットワークにより可能となります。

自社事化と社外目線の必要性

この際、必要となるのが、それらの情報を自社に置き換える能力です。「自社事化」する能力です。
「自社事化」するには、前提として、自社のさまざまなことを知っておくことが必要となります。自社のどの部分に影響を与えるかが分からないと、有益な情報も見逃してしまいます。
経営と現場に日々接することで、自社の課題や現状を知り、それがベースとなって、「自社事化」が可能となるのです。
この仕事を愚直に行っていけば、膨大な情報の選択眼が養われ、必要な情報への勘所が身につくはずです。

一方で、総務がCSRの担当であることも多いでしょう。
まずは、ステークホルダーとの対話から入ることがあるかもしれません。多くのステークホルダーと接することで、社外の目線で会社を見る習慣が身につくはずです。
「会社の常識は社会の非常識」とはよく言われるところです。
会社に良かれと思ったことが、結果として、社会へ不利益をもたらすことは多くの事例があります。
いわば、「正常と異常を見分ける目」は総務部が絶対に持っておくべき能力です。外部との接点がないとなかなか身に付きません。
総務にいるからこそ、身に着く、CSRが経営に必須の時代となりつつある現在、大変重要な能力であるはずです。

最新技術とサービスの導入にはリスク管理が大事

情報収集の対象は、ITをはじめとする最新技術や、サプライヤーやアウトソーサーが提供する最新サービスも該当します。
なぜなら、それらの技術やサービスを導入することで、会社を変えていくことができるからです。

もう一つの観点は、プライベートで活用される技術やサービスが、必ず仕事の中に流入してくるということです。
FaceBookを通じて仕事がされるようになったり、Lineで顧客とのコミュニケーションが行われたり、BYODということばがあるように、スマートフォンが重要な仕事インフラと定着していることもそうでしょう。

大事なことは、プライベートで皆さんが慣れ親しんでいるサービスと技術について、常に注視しておくことです。
いずれ、間違いなく仕事で活用されることになります。
総務目線でその技術やサービスが導入された場合の運用管理的側面、リスク管理的側面を考えてみる必要があります。

IT技術の問題は往々にして、仕事の効率化とリスクが、コインの表裏のように関係してきます。
効率化を優先すれば、リスクが生じる可能性が高まり、リスク管理を厳密にしていくと、効率化が妨げられる。
どちらを優先するかは、判断の問題ではありますが、総務としてはリスク管理的側面を重視したいものです。

例えば、スマートフォン。電話というよりパソコン。
そのパソコンを個々人が手軽に持ち運び、外出先でも業務処理のためにフル活用しています。それも、先に記したBYODともなれば、24時間、そのパソコンを持ち歩いているという状況となるわけです。

万が一紛失してしまったら?

個人情報管理が厳しく問われる時代です。
総務としては、IT技術を積極的に活用すべきではありますが、それによるリスク管理もしっかりと考えなければなりません。

情報収集にはイメージが必要

以上のように、総務としてはその立ち位置を利用して、さまざまな有用な情報を収集していくことが必要となります。
繰り返しになりますが、その際大事なのは、自社と照らし合わすという「イメージ作り」です。

自社で導入したら、どうなるのか?
自社に照らし合わせたら、どのように対応すべきなのか?
自社の場合は、何が関係してくるのか?

このようなことがイメージできなければいけません。
そうでないと、折角有用な情報に接したとしても、全く意味をなさないからです。
その前提として、自社のことをどれだけ知っているか、理解しているかがポイントになることがお分かりいただけるでしょう。

顧客との価値観の摺合せ

そうなると必要になってくるのが、顧客との価値観の摺合せです。
現場がいま何に困っていて、何を課題としているのか、何を必要としているのか、現場を歩きコミュニケーションすることで把握するのです。
対話を通じて、総務が必要としているもの、必要と考えているものとの価値観の摺合せをしていくのです。

総務が机の上だけで仕事をしていると、総務での必要性と、総務だけで通じる常識により、総務自身を惑わせ、現場に受け入れられない施策を導入する結果となってしまうのです。

顧客との価値観の摺合せも必要ですが、そもそも担当している業務の目的を把握しているでしょうか?
普段から目的を意識して仕事に取り組んでいるでしょうか? 
目の前の仕事だけに意識がいっていませんでしょうか? 
目的がない、あるいは目的が不明瞭の場合、それ自体を行うことがムダというケースもあります。

一度、全ての業務について、
「そもそも、この仕事の目的とは?」
「そもそも、この仕事の価値とは?」
このように、全ての業務の目的を再定義してはどうでしょうか? ゼロベースで考えてみるのです。

もしこの仕事をやめたらどうなるのか? 
車両管理の仕事があるけれど、社有車を無くしたらどのようになるのだろうか? 
文房具を一括購入しているけれど、部門で発注させたらどうなるのだろうか? 

そんなことを全業務について、業務の目的を毎年再定義してみるのが良いでしょう。
環境も変わり、企業の目指すべき方向も日々変化している現在、日々、柔軟に変化する総務でありたいものです。

お役立ち書式集 : BYOD関連書式

出典:一般社団法人コンピューターソフトウェア協会

豊田健一(とよだ・けんいち)
『月刊総務』編集長。早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の編集長を務めると同時に、一般社団法人ファシリティ・オフィスサービ ス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師も務める。

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