業務改善のススメ その①

~ 顧客に価値を提供できているか ~

総務の仕事の多くは属人化され、見える化されていないことが多いものです。見える化されていないと、業務改善が進みません。
そもそも業務改善とは、どのように進めればいいのでしょうか? 
見える化されたとしても、業務改善の考え方が理解できていなければ、あらぬ方向に進んでしまいます。

そもそも、業務とは?

業務改善を考える前に、そもそも改善をすべき業務とは何でしょうか? 

いまさら何を質問しているのか、と思われるでしょうが、業務の目的を確認することで、業務改善のヒントが見つかるかもしれません。
そもそも業務、仕事とは、出来るだけ少ない労力、最も効率の良い手段、プロセスで、結果として最も安価な費用で、多くの効果(=目的の達成)を目指すことにあると思います。
初めてその業務を行う場合は、そのようにいろいろと工夫を凝らし、効率的に行おうと考え、そして実践しているのではないでしょうか? 

しかし時がたち、環境も変化しているのに、相変わらず従来通りの方法で業務を遂行する、マンネリに陥ることは多いかと思います。
なぜなら、人間は変化を嫌います。
昔のまま、従来通りの方法で行った方が、楽ですし、なにより安全だからです。
仕事の仕方を変えたことにより、失敗してしまったら目も当てられません。変えるには勇気が要ります。確かな勝算が必要です。

しかし、怖がっていては、改善はできません。
変革は起こせません。
イノベーションはもたらせません。
戦略総務を目指すのであれば、常に、業務の時間短縮、疲労軽減、経費低減、そして、常に目的の質的向上を目指すことが必要でしょう。

そもそも、業務改善とは?

業務改善と聞くと、なにやら大きなことをしなければならないと思うかもしれません。
しかし、ムダなことをやめるという、ちょっとしたことでも改善です。

ムダ取り改善という考え方もあります。
どういうことかと言うと、総務にとって必要であっても、総務の顧客には価値のないムダを省くということです。顧客目線で見て、ムダを省くというものです。
往々にして、総務にとっての必要性で判断されがちなものです。

では、そもそも、総務の顧客とは誰がいるのでしょうか? 3つあると思います。

① 直接的には、アウトプットの後工程
② 対象は社員。本業での職場環境整備
③ 最後は企業。売上拡大等の業績貢献

大きく分けてこの3つがあるのではないでしょうか?

①の後工程が顧客というのは、なにも総務だけの話ではありません。
ほとんどの仕事は流れの中で行われています。いくつもの仕事が積み重なったプロセスでもあります。その目の前の仕事のアウトプットを受けて仕事をする後工程の人が、直接的には自分の仕事の顧客となります。その後工程の人が、スムーズに仕事ができるように、ムダなものを排除していくのは、至って簡単な業務改善です。

②は総務の在り方にも関係する顧客です。
今後の総務の在り方として、現場社員が本業に専念できる職場環境整備というものがあります。
専念できるように環境を整備してあげるわけですから、現場目線でムダがあるようであれば、それを取り除いてあげるのです。

効率よく仕事ができるサポートと言い換えてもいいかもしれません。
煩雑な注文の仕方や申請方法、必要のない書式の記載項目や押印欄、得てして総務目線での管理方法がまかり通り、現場では不平不満がたまっているかもしれません。

③の売上拡大等の業績貢献。
これに関するムダの排除は、コスト削減となるでしょう。
大事な総務の考えは、「何をしているかではなく、顧客に何をもたらしているかを考える」ことです。
つまり、総務が必要だと思い行う仕事の中で、顧客に価値を提供していない仕事はやめて、顧客への価値が高い仕事を増やすことです。

顧客との価値観の摺合せ

そうなると必要になってくるのが、顧客との価値観の摺合せです。
現場がいま何に困っていて、何を課題としているのか、何を必要としているのかを現場を歩きコミュニケーションすることで把握するのです。
対話を通じて、総務が必要としているもの、必要と考えているものとの価値観の摺合せをしていくのです。

総務が机の上だけで仕事をしていると、総務での必要性と、総務だけで通じる常識により、総務を惑わせ、現場に受け入れられない施策を導入する結果となってしまうのです。

顧客との価値観の摺合せも必要ですが、そもそも担当している業務の目的を把握しているでしょうか?
普段から目的を意識して仕事に取り組んでいるでしょうか? 
目の前の仕事だけに意識がいっていませんでしょうか? 
目的がない、あるいは目的が不明瞭の場合、それ自体を行うことがムダというケースもあります。

一度、全ての業務について、
「そもそも、この仕事の目的とは?」
「そもそも、この仕事の価値とは?」
このように、全ての業務の目的を再定義してはどうでしょうか? ゼロベースで考えてみるのです。

もしこの仕事をやめたらどうなるのか? 
車両管理の仕事があるけれど、社有車を無くしたらどのようになるのだろうか? 
文房具を一括購入しているけれど、部門で発注させたらどうなるのだろうか? 

そんなことを全業務について、業務の目的を毎年再定義してみるのが良いでしょう。
環境も変わり、企業の目指すべき方向も日々変化している現在、日々、柔軟に変化する総務でありたいものです。

豊田健一(とよだ・けんいち)
『月刊総務』編集長。早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の編集長を務めると同時に、一般社団法人ファシリティ・オフィスサービ ス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師も務める。

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