戦略総務のススメ

~ 会社を変える総務を目指して ~

『月刊総務』では、昨年より「戦略総務」という言葉を使い始めています。
「総務に戦略?」
そのように思う方も多いことでしょう。
しかし、今の時代、環境変化が激しく、厳しい競争社会においては、会社を内部から変えていく必要性があるのです。
価値観の多様化の中で、個々の社員のベクトルを統一していかなければなりません。そして、社員全員がモチベーション高く仕事に邁進してもらうことも必要です。

それらを実現するリーダーは誰となるのでしょうか?
「ずばり、それは総務でしょぅ!」

そのリーダーシップを発揮するためには、総務は戦略総務となるべきなのです。

なぜ、いま戦略総務なのか?

総務と聞いてイメージされるもの、多くの場合は以下のようなものではないでしょうか?
「何でも屋」
「縁の下の力持ち」
「誰でもできる仕事」
そして、総務部の皆さんも、そのような言葉に甘んじて、目の前の仕事を従来通り、何の疑問も持たずに、日々粛々とこなしているのではないでしょうか?

「総務が変われば、会社が変わる」という言葉があります。聞いたことありますか?
これは、総務が会社を内部変えることで、会社の存在基盤が強くなり、厳しい企業業績を生き抜いていける、そのような意味を表す言葉です。

そうすると、総務部の皆さんも含めて、多くの方が次のような疑問を持たれるでしょう。
「総務にそんな可能性があるのか?」
「そのような総務の仕事はイメージできない」
「経営層は総務にそのような期待はしていない」

確かに、今までのように目の前の仕事を、今までと同じやり方でこなしていれば、皆さんの疑問は至極当然のものとなります。

強いものが生き残るのではない?!

進化論で有名なダーウィンの言葉に以下のものがあります。
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」

会社も同じです。
激しい環境変化の荒波を乗り越えたものが、事業を継続していけるのです。
この会社が環境適応をしていく役割が総務にはあるのです。逆に、この環境変化への対応が総務の重要課題となるのです。
以下、説明していきましょう。

会社を取り巻く環境変化、その最たるものが、人口減少です。
生産労働人口が減少している事実です。働き手がいないのです。特に地方は顕著です。
新聞紙上にもあるように、東京一極集中がそれに拍車をかけています。東京に居たとしても、採用難は変わりません。
A&Rの強化という言葉が、人事部門を中心に語られます。
Attraction & Retention。
つまり、いかにして、優秀な人材を採用し(A:引きつけ)、定着させるか(R:引き留め)という課題です。
優秀な人材を採用する仕事は、人事採用の仕事でしょう。
しかし、定着させる仕事は、ずばり総務の仕事となります。

(出典)2010年までは国勢調査、2013年は人口推計12月1日確定値、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

ダイバーシティーが一つの課題となります。
さまざまな価値観を持った多様性を社内でいかに実現していくか、それは建物としてのハードの変更もあれば、制度としてのソフトの変更もあるかもしれません。
健康経営もそうでしょう。
社員が快適に仕事をすることができる環境整備、もちろんハードの整備から、社食の導入や、こちらも運用、ルールの改訂もあるでしょう。
社員が誇りを持てる会社施設や風土醸成は総務の管轄範囲です。

イノベーションは総務が起こす?!

働き手が少ないこともさることながら、厳しい生存競争に打ち勝つには、新たな事業を創出していかなければなりません。
いわゆるイノベーションの創出です。ここになぜ総務が関係するのか?

イノベーションを語るとき、次の言葉があります。
「イノベーションは異なる点と点が結び付き、線となった時に生ずる」
そのような言葉です。
具体的には、異なる専門分野の社員同士が偶発的に交わり、そこでされる会話よりイノベーションの芽が生まれる、ということです。
つまり、オフィスの中で、専門分野の異なる社員同士が交わる仕掛けをする、社内コミュニケーション活性化を仕掛けるということです。

マグネットポイントという仕掛けがあります。
例えば、コピー機を一か所に集める、ゴミ箱を一か所に集める、そのようなオフィスレイアウト上の仕掛けです。コピーを取る際、ゴミを捨てる際に、偶然出会うように仕掛けることです。
これは、そうです、総務の仕事です。総務しかしません、このオフィスレイアウトの仕事は。

総務は自らがイノベーションを起こすことはありませんが、このような仕掛けでイノベーションが起きやすくする風土を構築することができるのです。

総務の自己改革が急務!

しかし、以上あげた仕事は、少し総務自身に余裕がないとなし得ません。目の前の作業に忙殺されていては、仕掛けようにもそのアイデアが生まれません。
ですから、まずは総務自身の自己改革が必要となるのです。総務の現状を表した言葉に次の言葉があります。
「見えない、測れない、改善しない」
つまり、何がされているのか、どのようにされているのか、誰がしているのか、見えない。結果、改善できないというものです。
総務の自己改革、まずは見える化が絶対条件です。
見えてくれば、ITを使った仕組みに置き換えることができます。
見えてくれば、アウトソーシングすることもできます。
まずは、総務自身の見える化をしていきましょう。

その際必要なのが、情報収集です。
ITを使うにも、アウトソーシングするにも、最新技術、最新サービスを知らなければ移しようがありません。
総務は常日頃からアンテナ高く、情報収集を怠らないようにするべきです。

豊田健一(とよだ・けんいち)
『月刊総務』編集長。早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の編集長を務めると同時に、一般社団法人ファシリティ・オフィスサービ ス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師も務める。