2017.09.14

リース、レンタル どう違うの?

企業マネジメント

パソコン、デスク、社用車、コピー機など、それらは企業には欠かせないモノ。企業で使用されている様々なモノは通常、リース、 購入、レンタルといった方法で取得し利用します。
日本企業でよく利用されているリースについて、企業会計基準委員会(ASBJ)は平成19年3月30日、「企業活動のグローバル化に伴う共通の評価尺度の必要性」「借手における資産及び負債の認識の必要性」等の観点から、上場企業、大会社等*については所有権移転外ファイナンス・リース取引の『賃貸借処理』を原則廃止して『売買(に準じた)処理』とすることとし、リース会計基準の改正を公表しました。
また、リース会計基準の見直しを契機として平成19年度税制改正において、リース取引に関する税務上の取り扱いも変更されました。
*①金融商品取引法適用会社(上場会社及びその子会社、関連会社等)
  ②会計監査人設置会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社及びその子会社等)

リース会計基準の変更に伴い、リースで取得したものはオンバランス(要資産計上)となってしまいます。そのため最近は、リースによるメリット(オフバランス化等)の低下、モノを『所有』から『活用』する傾向などの理由により、OA機器を必要な時に必要なものを調達できるレンタルサービスや、パソコンについても付帯サービスを含んでレンタルできるサービスなどが注目されています。 ここではリースとレンタルについて、仕組み、会計での取り扱いの違いについて紹介します。

リース、レンタル 仕組みの違い

まずはリースでのモノの取得について。一般的に、企業が利益を創出する活動を行うために業務上必要なモノを取得して使用する、それに対してのファイナンスの意味合いを持ち合わせた物件賃貸借の仕組みと考えてもいいと思います。

リースでモノを調達する場合(ファイナンス・リース)
リース会社が認めるリース適格物件が対象
お客様のご希望の機器を機種指定で自由に選定
利用期間は長期間(経済的耐用年数での判定は図3参照)
物件はお客様の管理

リース会社がお客様の希望される商品を新品購入して利用期間に合わせて解約不可(ノン・キャンセラブル)、全額回収(フル・ペイアウト)の契約条件で賃貸借する、という流れです。

リース調達のイメージ
図1 リース調達のイメージ

次はレンタルでのモノの取得について。レンタルといえば、日常生活ではCDやDVD、ビジネスではレンタカー、パソコン、OA機器などで期間に合わせて利用したい時にレンタルというイメージがあるかと思います。そのイメージの通り、レンタルの場合はレンタル会社が既に所持しているモノをお客様が必要とされる期間賃貸借する仕組みで、新品であるとは限りません。必要な機能を利用することに対して期間に応じた利用料が生じる物件賃貸借の仕組みと言ってもいいでしょう。最近では、時間単位で利用できるカーシェアリングや自転車シェアリングも増えてきています。

レンタルでモノを調達する場合(主に短期レンタル)
汎用性の高いモノをレンタル会社在庫から賃貸借
利用期間は一般的に短期間(経済的耐用年数での判定は図3参照)
中途解約可能
物件はレンタル会社管理(故障時には代替機提供)

利用期間に合わせて一般的にはレンタル会社保有の在庫品から賃貸借で提供する、という流れになります。

短期レンタルのイメージ
図2 短期レンタルのイメージ
レンタルでモノを調達する場合(主に中長期レンタル)
汎用性の高いモノをレンタル会社在庫から賃貸借(または お客様指定の機器を新品調達)
利用期間は中~長期間(経済的耐用年数での判定は図3参照)
中途解約可能(解約精算金は発生)
物件はレンタル会社管理(故障時には一般的には代替機提供)

普段仕事には欠かせないパソコンの、導入から保守、廃棄までPCライフサイクルマネジメントを一環で提供するなど、サービス付きで、アウトソーシングの意味合いも色濃いレンタルサービスが出てきたことも、市場へ対応したトレンドと言えるでしょう。



リース、レンタル共にお客様は賃貸借で物件を利用するということには変わりがないですが、貸し出すことへの考え方が違うようです。物件の対象やリース、レンタル、購入の比較を、表1にまとめてみました。参考にご覧ください。

表1 リース・レンタル比較表
  リース*1 レンタル 購入
物件対象 リース会社が
認めた物件
レンタル会社保有品 自由
物件の選定 お客様指定品を新規調達 レンタル会社保有品の
中から選定
(一部、お客様指定品を
新規調達することも可能)
自由
契約期間 2年~5年 1日から長期も可能
物件の所有権 リース会社 レンタル会社 お客様
会計処理 売買処理
(オンバランス)*2
賃貸借処理
(オフバランス)
売買処理
(オンバランス)
固定資産税
動産保険
リース会社負担 レンタル会社負担 お客様負担
障害時対応 別途保守契約 同等スペックの代替機
レンタル料金に込み
別途保守契約
付帯サービス なし
(別契約)
あり
お客様指定の設定をした
上での出荷も可能
なし
(別契約)
総支払額 物件代金+金利+手数料 一般に1年未満の短期レンタル
ではリースよりも割安
物件代金
中長期レンタルは障害時の
代替機交換などの
サービス費用を含むため
リース料金よりも支払い額は多い
支払方法 平準化(毎月支払い) 平準化(毎月支払い) 一括支払
契約満了後の取扱 返却 または 再リース 返却 または 契約延長
解約 原則不可 可能*3
*1 ここでは所有権移転外ファイナンス・リースを指します
*2 下記の記載の条件などにより「中小企業会計指針」(平成 28 年1月)を適用して
     所有権移転外ファイナンス・リース取引を賃貸借処理(オフバランス)することができます。
①以下に該当しない企業
  ・金融商品取引法適用会社(上場会社及びその子会社、関連会社等)
  ・会計監査人設置会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の会社及びその子会社等)
②企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、1契約のリース料総額が300万円以下であること
*3 解約時に解約精算金が発生します。

リース、レンタル 会計上の取り扱い

実はレンタルでの調達も会計基準上リース取引と同様の取扱となることに注意が必要です。それを踏まえてここではリース、レンタル共にリース取引として取扱いながらリース会計基準に照らしてリース、レンタルの取り扱いを考えてみましょう。 リース取引では、対象の物件の賃貸借総額や経済耐用年数に対しての契約期間と解約条件などによってリース取引の種類はファイナンス・リース、オペレーティング・リースと分かれます。ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いは、資産のオフバランス化という観点からは以下のように分類できます。

リース :お客様指定品を新規調達
レンタル :レンタル会社在庫から選定

*レンタルでの調達も会計基準上リース取引と同様の取扱となります。

図3 リース取引 判定基準のイメージ

つまり、最初の分岐で

リース料総額の現在価値 ≧ 見積現金購入価値の90%
AND
解約不能リース期間 ≧ 経済的耐用年数の75%
(リース料総額の現在価値が90%を大きく下回るものを除く)

であればオペレーティング・リースとして会計上オフバランスでの取り扱いが可能なわけです。
レンタルはオペレーティング・リースの取扱い範囲内で設定される料金及び契約であることが一般的であり、現状の会計基準では貸借対照表上オフバランスの取扱が可能です。企業の財務及び税務会計への意識が向上している昨今、財務及び税務会計にもモノの取得の契約形態が重要な役割を果たしていると言えます。

オフバランス化のメリット

それでは、オフバランス化によるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
もっとも大きなメリットは、「バランスシートのスリム化」によるROA(Return on Assets 総資本利益率)の改善が挙げられます。また、「業務手間(オンバランス化に伴う減価償却)の省力化」のメリットもあります。


  ROA(総資本利益率)の考え方

   ROA(%) = 純利益 ÷ 総資本(総資産)

   Ex. 1,000万円の資産がある会社で利益が100万円の場合と、800万円の資産がある会社で
     利益が100万円の場合では、後者のほうが「 経営効率が良い」つまり「資本を生かしている」
     となります。

まとめ

「厳しい経済状況だからこそモノの持ち方を見直してみよう」という流れ、「必要なモノを必要な期間だけ利用したい」、「コストを平準化したい」、「資産数を適正化したい」、「固定資産の管理がたいへん…」、「パソコンの運用管理を任せたい」等の声に、レンタルの仕組みを組み込んだ様々なサービスが生まれ、お客様のニーズに対応してきています。

ワークスタイルが多様化する中、期間が限定されるプロジェクトや繁忙期、イベント等の1日から1年未満でのレンタルを活用するシーンが増えています。
また情報漏えいの防止の意識向上などから、会社から機器を持ち出すことはセキュリティ上出来ません。
そのような場面で期間に合わせて必要機器をレンタルで利用するシーンも増えています。

リース及びレンタルの会計上の取り扱いについては、IFRS(国際財務報告基準)の動向も気になるところです。
最後に、本文書は記載時点での一般的な考え方に基づいていますが、会計・税務処理は、監査法人、会計士などにご確認、ご相談のうえ、お客様にてご判断いただきますよう、お願いいたします。